ニュースで「景気が良い」「景気が悪い」という言葉を耳にすることがありますね。短い期間で見ると、良くなったり悪くなったりを繰り返しているように見えますが、非常に長い目で見ると、経済、つまり世の中全体のお金の動きやモノの生産は、少しずつ大きくなっていることが多いのです。
でも、「なぜずっと大きくなり続けるのだろう?」と不思議に思うかもしれません。まるで身長が伸びるように、経済も成長するということなのでしょうか?
この記事では、経済が大きくなる(成長する)主な理由を5つ、わかりやすく解説します。そして、未来の経済についても少し考えてみましょう。
この記事を読むことで、以下の点が分かります。
- 経済がだんだん大きくなる仕組み
- 経済を成長させるパワーの源は何か
- 経済が成長する上で、これから考えなければいけないこと
経済が大きくなる! 5つの理由
昔の人々の生活と今の私たちの生活を比べると、使えるモノやサービスが大きく異なりますね。これが経済が大きくなってきた証拠です。その背景には、次のような理由があります。
すごい技術が次々に生まれるから (技術革新)
経済を成長させる最も大きなパワーの一つは、新しい技術が生まれることです。
- もっと楽に、もっとたくさん作れるように: 昔は手作業だったことを機械が代行したり、コンピューターやAIが難しい計算や作業を手伝ってくれたりします。新しい技術のおかげで、少ない時間や人数でも、たくさんのモノを作ったり、質の高いサービスを提供したりできるようになったのです。(例:昔は大変だった田植えが、田植え機で効率よくできるようになった)
- 新しいモノやサービスが登場: スマートフォンやインターネット、新しいゲーム機のように、昔は存在しなかった便利なモノや楽しいサービスが技術のおかげで次々に生まれています。これにより、新しい仕事や会社が生まれ、経済全体が活性化します。
人間の知恵や工夫によって技術は絶えず進歩していくため、これが経済を大きくする強い力になります。
人が増え、皆の「できること」が増えるから (人口増加と「人的資本」の向上)
- 働く人・買う人が増える: 世界全体で見ると、人口は増加傾向にありました。人が増えれば、基本的にモノを作る働き手が増え、モノやサービスを購入する消費者も増えます。単純に、経済活動に参加する人が増えるということですね。
- 「人の力」がパワーアップ: ただ人数が増えるだけではありません。皆さんが学校で勉強したり、専門的なスキルを身につけたり、健康になったりすることで、一人ひとりができる仕事のレベルが上がります。これを少し難しい言葉で「人的資本の向上」と言いますが、要は「人の力」が向上するということです。知識やスキルを持った人が増えれば、より複雑な課題も解決できますし、新しいアイデアも生まれやすくなります。
モノを作るための道具や建物が増えるから (資本蓄積)
商品を作ったりサービスを提供したりするには、人がいるだけでなく、工場や機械、パソコン、お店の建物、道路やインターネット回線といった「道具」や「設備」が必要です。これを経済の言葉で「資本(しほん)」と言います。
- 設備投資で生産力アップ: 会社が利益を使って、より性能の良い機械を購入したり、新しい工場を建設したりすることを「設備投資」と言います。これによって、より多くのモノを効率よく作れるようになります。(例:パン屋さんが大きなオーブンを導入し、一度により多くのパンを焼けるようにする)
- 便利な社会の土台(インフラ): 国や地域が道路、港、電気、インターネット網のような、社会全体の「基礎」となる部分(インフラ)を整備することも重要です。これらがしっかりしていると、モノの輸送や情報の伝達がスムーズになり、経済活動が行いやすくなります。
お金がこうした「資本」に変わり、それがさらに新しい価値を生み出す…この循環が経済を大きくしていきます。
もっと上手にモノを作れるようになるから (生産性向上)
上記の1~3(新しい技術、人の力の向上、道具や設備の充実)が組み合わさると、全体として「モノやサービスを生み出す効率」が良くなります。これを「生産性(せいさんせい)が向上する」と言います。
- 無駄なく、賢く働く: 同じ時間働くならば、より多くのモノを作れた方が効率的ですね。作業手順を見直したり、得意な人が得意な作業を担当したり(分業)、新しいアイデアを取り入れたりすることで、効率はどんどん良くなっていきます。
- 競争による進歩: 会社同士は、より良い製品をより安く提供しようと競争しています。そのため、常に「もっと上手くやる方法はないか?」と考えて工夫します。これも生産性を向上させる力になります。
生産性が向上すれば、社会全体で利用できるモノやサービスが増え、生活がより豊かになっていきます。
世界とつながり協力するから (グローバル化と貿易)
今、私たちは世界中の国々と簡単につながれるようになりましたね。モノやお金、情報が国境を越えて行き来する「グローバル化」も、経済を大きくする理由の一つです。
- 得意分野で協力: 日本は自動車や電子機器の製造が得意、他の国は農産物や衣類の生産が得意…というように、国によって得意なことがあります。お互いに得意なモノを作り、それを交換(貿易)すれば、世界全体で見たときに、より少ないコストで多くの種類のモノを手に入れられるようになります。(例:日本は自動車を輸出し、代わりに果物や衣類を輸入する)
- 世界中が市場・調達先: 日本の企業も、世界中の人々に商品を販売することができます。逆に、海外の安価な部品や原材料を調達することも可能です。市場が世界に広がることで、ビジネスの機会が大きくなります。
- 良いアイデアの伝播: 他の国の進んだ技術や、優れた経営方法などを、貿易や交流を通じて学びやすくなります。
世界中がつながることで、互いに刺激し合い成長していけるのですね。
成長には「壁」もある? 未来に向けて考えたいこと
ここまで経済が大きくなる理由を見てきましたが、「では、未来もずっと安心だ」と単純には言えません。経済の成長には、いくつか考えなければならない「壁」もあります。
- 地球の限界: モノを作ったり消費したりすると、地球の資源(石油、鉱物など)を使用し、廃棄物や二酸化炭素も排出されます。資源は無限ではなく、地球温暖化のような環境問題も深刻です。地球環境に配慮しない経済活動は、将来的な成長を困難にするかもしれません。
- 「豊かさ」の偏り: 経済が成長しても、その恩恵が一部の人々に集中し、貧富の差(格差)が拡大してしまうことがあります。これは公平性の問題だけでなく、社会の不安定化につながる可能性もあります。
- 人口の変化: 日本のように、子どもの数が減り、高齢者が増える「少子高齢化」が進む国もあります。将来的に労働力が減少すると、経済成長の勢いが弱まる可能性があります。
- 予期せぬ危機: 世界的な感染症の流行(新型コロナウイルスなど)や、大規模な金融危機(リーマンショックなど)が発生すると、経済は大きな打撃を受けることがあります。
このような「壁」をどのように乗り越えていくかが、これからの大きな課題なのです。
まとめ
経済が長期的に見て大きくなる(成長する)のには、しっかりとした理由があります。それは主に、
- すごい技術が次々に生まれること
- 人が増えたり、皆の「できること」が向上したりすること
- モノを作るための道具や建物が増えること
- より上手にモノを作れるようになること(生産性の向上)
- 世界とつながり協力すること
これらの力が組み合わさって、私たちの社会は少しずつ豊かになってきました。
しかし、その成長が未来永劫保証されているわけではありません。地球環境の問題、格差の問題、人口の変化といった難しい課題もあります。
これからの未来、私たちが豊かに暮らし続けるためには、これらの課題を解決するための新しいアイデアや、社会全体で協力していく姿勢が、ますます重要になってくるでしょう。経済の仕組みを知ることは、そのような未来を考えるための大切な第一歩です。
この記事が、経済や社会のことに関心を持つきっかけとなれば幸いです。
この記事を書いた人:かんとりー(ファイナンシャルプランナー2級)
節約・投資・デジタル活用を中心に、暮らしに役立つ情報を発信中。
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