マイホーム購入は人生の大きな決断。そして、その資金計画の中心となるのが住宅ローンです。住宅ローンを選ぶ上で、多くの人が頭を悩ませるのが「固定金利」と「変動金利」のどちらを選ぶか、という問題ではないでしょうか?
「変動金利の方が金利が低いって聞くけど、将来上がるのが怖い…」 「固定金利は安心だけど、損してる気分になるかも…」
このように、どちらの金利タイプにもメリット・デメリットがあり、一概にどちらが良いとは言えません。大切なのは、それぞれの特徴を正しく理解し、ご自身のライフプランや考え方に合った選択をすることです。
この記事では、住宅ローンの固定金利と変動金利について、以下の点を分かりやすく解説します。
- 固定金利と変動金利の基本的な仕組み
- それぞれのメリット・デメリット徹底比較
- どんな人がどちらの金利タイプに向いているか
- 後悔しないための選び方のポイントと注意点
- 最新の金利動向(2025年4月現在)
この記事を読めば、固定金利と変動金利の違いが明確になり、ご自身にとって最適な住宅ローン選びのヒントが見つかるはずです。ぜひ最後までご覧ください。
住宅ローンの金利タイプとは? まずは基本をおさえよう
住宅ローンの金利タイプは、大きく分けて「固定金利」と「変動金利」の2種類があります。それぞれの基本的な仕組みを見ていきましょう。
- 固定金利:
- 仕組み: 借入期間中、金利がずっと変わらないタイプです。「全期間固定金利型」とも呼ばれます。
- 特徴: 毎月の返済額が最後まで一定なので、返済計画が立てやすいのが特徴です。市場金利が上昇しても影響を受けません。
- 変動金利:
- 仕組み: 半年ごとなど、定期的に金利が見直されるタイプです。通常、短期プライムレートなどの市場金利に連動して金利が変動します。
- 特徴: 一般的に、借入当初の金利は固定金利よりも低く設定されています。市場金利が下がれば返済額も減る可能性がありますが、逆に上昇すれば返済額が増えるリスクがあります。
この他に、借り入れから一定期間(3年、5年、10年など)だけ金利が固定され、期間終了後はその時点の金利(変動金利か再度固定金利かを選べる場合が多い)が適用される「固定金利期間選択型」や、固定金利と変動金利を組み合わせる「ミックスローン(金利MIX型)」といったタイプもあります。
固定金利のメリット・デメリット
まずは固定金利のメリットとデメリット、そしてどんな人に向いているかを見ていきましょう。
メリット:
- 返済額が一定で家計管理がしやすい: 最大のメリットは、借入期間中の金利が変わらないため、毎月の返済額が最後まで確定している点です。将来にわたって返済計画が立てやすく、家計管理が安定します。
- 金利上昇リスクがない安心感: 将来、市場金利がどれだけ上昇しても、ご自身のローン金利は上がりません。「金利が上がったらどうしよう…」という不安から解放されます。
デメリット:
- 変動金利より当初の金利が高め: 一般的に、借入開始時点の金利は変動金利よりも高く設定されています。
- 金利が低下しても恩恵を受けられない: 市場金利が低下しても、借入金利は下がらないため、変動金利を選んだ場合と比べて総返済額が多くなる可能性があります。
固定金利が向いている人:
- 将来の金利上昇リスクを絶対に避けたい人
- 毎月の返済額を確定させて、安心して家計管理をしたい人
- 子どもの教育費など、将来的に支出が増える予定がある人
- 金利動向を常にチェックするのが苦手・面倒な人
変動金利のメリット・デメリット
次に、変動金利のメリット・デメリットと、向いている人を見ていきましょう。
メリット:
- 固定金利より当初の金利が低い傾向: 一般的に、借入開始時点の金利が固定金利よりも低く設定されているため、当初の毎月返済額を抑えることができます。
- 金利が低下すれば返済額が減る可能性: 市場金利の低下に合わせてローン金利も下がれば、毎月の返済額や総返済額が減る可能性があります。
デメリット:
- 金利上昇リスクがある: 市場金利が上昇すると、ローン金利も上がり、毎月の返済額が増える可能性があります。
- 将来の返済額が不確定: 金利が変動するため、将来の返済額がいくらになるか分かりにくく、長期的な返済計画が立てにくい側面があります。
- 「5年ルール」「125%ルール」に注意:
- 5年ルール: 金利が上昇しても、毎月の返済額は5年間変わらないというルール(多くの金融機関で採用)。
- 125%ルール: 5年後の返済額見直し時、それまでの返済額の1.25倍を上限とするルール。
- 注意点: これらのルールは急激な返済額増加を抑えるためのものですが、金利が大幅に上昇した場合、返済額に占める利息の割合が増え、元金がなかなか減らない、あるいは利息が返済額を上回る「未払利息」が発生するリスクがあります。未払利息は、最終返済時などに一括で支払う必要が出てくる場合があります。
変動金利が向いている人:
- ある程度の金利上昇リスクを受け入れられる人
- 借入当初の毎月返済額をできるだけ抑えたい人
- 金利動向を定期的にチェックし、必要に応じて繰り上げ返済などを柔軟に行える人
- 借入期間が比較的短い、または借入額が比較的少ない人
- 将来的に収入が増える見込みがある人
【比較表】固定金利 vs 変動金利 まとめ
項目 | 固定金利 | 変動金利 |
---|---|---|
金利 | 借入期間中ずっと一定 | 定期的に見直される |
当初金利 | 変動金利より高め | 固定金利より低い傾向 |
返済額 | ずっと一定 | 金利変動により変わる可能性あり |
金利上昇リスク | なし | あり |
金利低下メリット | なし | あり |
家計管理 | しやすい | しにくい(将来の返済額が不確定) |
メリット | 安心感、計画性 | 低金利の恩恵、当初返済額が低い |
デメリット | 当初金利高め、金利低下メリットなし | 金利上昇リスク、計画性立てにくい |
向いている人 | 安定志向、リスク回避型 | リスク許容型、低金利メリット享受型 |
固定金利と変動金利、結局どっちを選ぶべき?選び方のポイント
結局のところ、どちらの金利タイプを選ぶべきなのでしょうか? 絶対的な正解はありませんが、以下のポイントを考慮して、ご自身に合った選択をすることが重要です。
- 金利動向の見通し:
- 現状 (2025年4月現在): 日本では長らく低金利政策が続いており、特に変動金利は歴史的な低水準にあります。一方、世界的なインフレや金融政策の変更などにより、将来的な金利上昇の可能性も指摘されています。
- 今後の見通し: 将来の金利動向を正確に予測することは専門家でも困難です。様々な情報源(金融機関、ニュース、専門家のレポートなど)を参考にしつつも、「金利が上がっても大丈夫か?」という視点で検討することが重要です。
- 自身のライフプランと資金計画:
- 今後数年~数十年の収入や支出の見通し(転職、出産、子どもの進学など)を考えましょう。教育費などで支出が増える時期に返済額が増加すると、家計が厳しくなる可能性があります。
- リスク許容度:
- 金利が上昇して毎月の返済額が増えた場合、どの程度までなら家計的に耐えられるか、精神的に受け入れられるかを考えましょう。少しでも不安を感じるなら、固定金利を選ぶ方が安心かもしれません。
- 借入額と借入期間:
- 借入額が大きい、または借入期間が長い(30年、35年など)場合は、金利上昇時の返済額増加インパクトも大きくなります。このようなケースでは、固定金利の安心感を重視する考え方もあります。
- 繰り上げ返済の計画:
- 手元資金に余裕ができたら積極的に繰り上げ返済をして、早期に元金を減らす計画がある場合は、当初金利の低い変動金利のメリットを活かしやすいかもしれません。
- ミックスローンという選択肢:
- 「固定の安心感も欲しいけど、変動の低金利も捨てがたい…」という場合は、借入額の一部を固定金利、残りを変動金利にする「ミックスローン」も検討してみましょう。両方のメリット・デメリットを併せ持つことになります。
住宅ローン選びの注意点
金利タイプを選ぶ際には、以下の点にも注意しましょう。
- 変動金利の「未払利息」リスクを理解する: 前述の通り、金利が大幅に上昇した場合、5年ルール・125%ルールによって未払利息が発生する可能性があります。仕組みをよく理解しておきましょう。
- 金利タイプの変更条件を確認する: 途中で金利タイプを変更できるか、できる場合の条件や手数料を確認しておきましょう。(一般的に、変動金利から固定金利への変更は可能ですが、固定金利期間中に変動金利へ変更することは難しい場合が多いです。)
- 金利以外の要素も比較する: 事務手数料、保証料、団体信用生命保険(団信)の内容なども金融機関によって異なります。金利だけでなく、諸費用や付帯サービスも含めて総合的に比較検討しましょう。
- 複数の金融機関を比較する: 同じ金利タイプでも、金融機関によって金利水準やサービス内容は異なります。複数の金融機関の情報を集め、比較検討することが重要です。
まとめ:最適な選択は人それぞれ。じっくり比較検討を!
住宅ローンの固定金利と変動金利、どちらを選ぶべきかについて解説してきました。
- 固定金利: 返済額が変わらない安心感を重視する人向け
- 変動金利: 低金利のメリットを享受したい、金利上昇リスクに対応できる人向け
どちらが絶対的に有利ということはなく、ご自身の経済状況、ライフプラン、そして何より「金利変動に対する考え方(リスク許容度)」によって最適な選択は異なります。
現在の金利状況だけでなく、将来の見通しやご自身の状況を多角的に考慮し、必要であればファイナンシャルプランナー(FP)や金融機関の担当者など、専門家に相談することも有効です。
人生で最も大きな買い物の一つであるマイホーム。後悔のない住宅ローン選びができるよう、この記事が少しでもお役に立てれば幸いです。じっくり比較検討し、ご自身にぴったりの住宅ローンを見つけてください。
この記事を書いた人:かんとりー(ファイナンシャルプランナー2級)
節約・投資・デジタル活用を中心に、暮らしに役立つ情報を発信中。
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